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[半学半教] 中国では、究極の世俗化と魂の国有化が市民社会形成を妨げている(総合政策学部教授 田島英一)

2010/01/18 「塾」2009年AUTUMN(No.264)掲載
※職名等は掲載当時のものです。

1994年開設。学部に2プロジェクトを開講、大学院では「現代中国研究」「GNL(Globalism Nationalism Localism)」の2プロジェクトに参与。現在指導する大学院生は8名。

田島 英一(たじま えいいち) 総合政策学部教授

研究会の皆さん
発端は、中国「民主化」の問題です。中国では、一党支配の中央集権がかえって地方の暴走を生み、さまざまな問題等を引き起こしています。しかし多党制や分権を進めれば、あの国は予想不可能な形で秩序を失い、紛争を伴う分裂へと至る危険性もあります。そこで注目したのが、体制移行を下支えしうる市民社会成立の可否でした。

最近、フランス大統領が、ムスリム女性のヒジャブ着用を禁止しようという提案をしました。フランスはルソー=ジャコバン的伝統の中で宗教を私人化してきたわけですが、これは私人の領域にまで踏み込もうという話ですね。中国もいわゆる「愛国宗教団体」で教会や寺院を支配しようとしましたが、50年代半ばからは、家庭内の宗教行為にまで容喙(ようかい)し始めました。時々思うのですが、中国共産党というのは、マルクスというより、むしろルソーの優等生ですね。

団結の美名の下で信仰まで「国有化」された人々は、もはや自発的市民であることができません。容易に、オルテガのいう「大衆」へと堕(だ)してしまいます。そういう意味で、最近中国に見られる宗教ブームは、行動の「ことば」を人々が国家から奪還する好機になりえます。また組織宗教の中に、公益事業(=宗教的情熱の俗世における理性的表現)が勃興しつつあります。こうした変化が中国の市民社会、ひいては政治に与える影響を、今は主な関心事にしています。

学部研究会においては、国家=社会関係における宗教、疑似宗教としてのナショナリズム等を考察対象としています。事例は、特に地域を限定しません。大学院生諸君は目下中国からの留学生が中心で、こちらは中国を研究フィールドとする方がほとんどです。

教員のプロフィール

慶應義塾大学総合政策学部教授、政策・メディア研究科委員。慶應義塾大学文学部、文学研究科修士課程、同博士課程(いずれも中国文学専攻)に学び、1994年より専任教員として慶應義塾大学SFCに勤務。専門は中国地域研究。

厳しい討議の先に知が生まれる

張 璞(ちょう ぼく)
政策・メディア研究科修士課程2年
研究会では議論、交流が活発に行われており、常に日本語、中国語、英語等さまざまな言語の飛び交うシーンが非常に印象的です。参加者の主な研究地域は中華圏ですが、それぞれの研究分野が異なり、政治、経済、社会、宗教、メディア等幅広い領域にまたがっています。研究会の時間をより有効的に利用するために、授業時間外に「メディア」「社会・宗教」「政策決定」という3つのグループに分かれ、文献輪読や先生からの方法論、基礎知識についての指導も行われています。先生は時々厳しいコメントをしますが、中国では「忠言逆耳」(忠言耳にさからう)とも言います。先生の細部にわたるご指導のもとで、私たちは試行錯誤しつつ日々成長しています。
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