メインカラムの始まり
[半学半教] 善い、正しい、それはどういうことか(文学部教授 樽井正義/文学部准教授 エアトル・ヴォルフガング)
2009/07/27 「塾」2009年SUMMER(No.263)掲載
※職名等は掲載当時のものです。
倫理学と社会哲学の基本的課題について、日本語と英語で議論する。
4年生2名、3年生3名、院生3名。
倫理学と社会哲学の基本的課題について、日本語と英語で議論する。
4年生2名、3年生3名、院生3名。
樽井 正義(たるい まさよし) 文学部教授
エアトル・ヴォルフガング 文学部准教授
倫理学の対象を一言で表せば善です。善いとはどういうことか、なにがなぜ善いのか、これを考えるのが倫理学の課題です。人の行い、人となり、人と人との関わり、社会の仕組みなど、もっぱら人の生き方について善いか善くないか、これを判断する能力と資格はだれにでもあります。しかし判断の基準は、かならずしも明瞭に自覚されているとはかぎりません。それを少しは明らかにしたい、その試みが倫理学です。
人との関わりで善いこととは、人を大切にすることであり、ときとところを問わずこれに変わりはないでしょう。とはいえ、大切にすることを権利や自由、そして平等や正義といった言葉で語ろうとするのは、西欧の近代以降の営み、つまり世界のごく一部において、たかだか三四百年前に始められた営みです。しかし今日ではこの言葉は、世界人権宣言が示しているように、広く共有されようとしています。私たちの社会でも、百数十年前の翻訳語が、いまやともあれ日常語になっています。
自由や平等をめぐっては、ロールズの自由主義、ノージックの自由至上主義、マッキンタイアの共同体主義などが議論を展開しています。また、正しい行為、善い人となりとはなにかについて、カントに代表される義務論、ベンサムからミルに至る功利論、そしてアリストテレスやトマスに遡る徳論、これらの流れを汲む研究者たちが考察を継続しています。こうした主題を概説する現代倫理学の著作、主要な論文を英文で読み、英語と日本語で議論することが、この研究会での作業です。この学習においては、抽象的に見える倫理学の概念や原理と、私たちが直面している具体的な倫理的課題とを、互いに突き合わせて理解すること、また文化や経済に規定された私たちの社会の現実を、地球規模の文脈に繋げて把握すること、これを心がけています。
人との関わりで善いこととは、人を大切にすることであり、ときとところを問わずこれに変わりはないでしょう。とはいえ、大切にすることを権利や自由、そして平等や正義といった言葉で語ろうとするのは、西欧の近代以降の営み、つまり世界のごく一部において、たかだか三四百年前に始められた営みです。しかし今日ではこの言葉は、世界人権宣言が示しているように、広く共有されようとしています。私たちの社会でも、百数十年前の翻訳語が、いまやともあれ日常語になっています。
自由や平等をめぐっては、ロールズの自由主義、ノージックの自由至上主義、マッキンタイアの共同体主義などが議論を展開しています。また、正しい行為、善い人となりとはなにかについて、カントに代表される義務論、ベンサムからミルに至る功利論、そしてアリストテレスやトマスに遡る徳論、これらの流れを汲む研究者たちが考察を継続しています。こうした主題を概説する現代倫理学の著作、主要な論文を英文で読み、英語と日本語で議論することが、この研究会での作業です。この学習においては、抽象的に見える倫理学の概念や原理と、私たちが直面している具体的な倫理的課題とを、互いに突き合わせて理解すること、また文化や経済に規定された私たちの社会の現実を、地球規模の文脈に繋げて把握すること、これを心がけています。
教員のプロフィール
樽井正義:1976年慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程満期退学。同年文学部助手、1996年より現職。専門は社会哲学、生命倫理学。
エアトル・ヴォルフガング:1996年エアランゲン・ニュルンベルク大学哲学部博士学位取得。同年より哲学部助手、2004年教授資格取得。2005年より現職。専門は倫理学史、現代倫理学。
エアトル・ヴォルフガング:1996年エアランゲン・ニュルンベルク大学哲学部博士学位取得。同年より哲学部助手、2004年教授資格取得。2005年より現職。専門は倫理学史、現代倫理学。
「真の国際人」の基礎を築く
重永 大輔(しげなが だいすけ)
文学部4年
文学部4年
21世紀は混迷の時代である。手垢のついた言葉だが、事実だろう。政治、経済、学問、文化。現代社会のあらゆる位相において、過去数百年の間に、先人たちが築き上げてきた社会の諸原理が、綻びを露にしている。個人の自由・平等、市場や市民社会の自律、民主主義など、「近代」が産み落としたさまざまな原理が根源的な見直しを迫られているのである。
当研究会では、樽井正義教授、エアトル・ヴォルフガング准教授の指導のもと、かかる西欧「近代」の諸原理を、代表的な著作の講読を通じて批判的に再検討する。主たる使用言語は「英語」であり、教員2名に対して学生5名と「少人数指導体制」で進められる。また、学生は「半学半教」の理念のもと、主体的に発表を行うことが求められる。
決して楽な取り組みではない。だが、少人数指導体制のもと、近代を、英語で、主体的に問い考えることは、「真の国際人」の最も基礎的な資質を養うものであると私は考える。「真の国際人」とは、「真の教養人」であるからだ。
当研究会では、樽井正義教授、エアトル・ヴォルフガング准教授の指導のもと、かかる西欧「近代」の諸原理を、代表的な著作の講読を通じて批判的に再検討する。主たる使用言語は「英語」であり、教員2名に対して学生5名と「少人数指導体制」で進められる。また、学生は「半学半教」の理念のもと、主体的に発表を行うことが求められる。
決して楽な取り組みではない。だが、少人数指導体制のもと、近代を、英語で、主体的に問い考えることは、「真の国際人」の最も基礎的な資質を養うものであると私は考える。「真の国際人」とは、「真の教養人」であるからだ。
























