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[半学半教] 社会の中で健康について考え行動する(医学部教授 武林 亨)

2009/03/02 「塾」2009年WINTER(No.261)掲載
※職名等は掲載当時のものです。

研究によって得られる科学的知見を、“art” として広く社会へ伝達・還元する一連の公衆衛生活動を通じ、
社会の発展に寄与することを目指す。

武林 亨(たけばやし とおる) 医学部教授

研究会の皆さん
あらゆる人にとって身近な問題である健康そして医療。これらは病院の中だけで、あるいは医療者だけで解決するものではない。生活に根ざしたさまざまな要因や環境に目を向け、社会への広がりを持ったアプローチが求められる。私たちの研究室は、病院や研究室を飛び出して生活の場へ出かけ、健康や医療の課題について学び、調べ、そこから得たものを社会へと伝える、そんな活動を続けている。

活動のテーマは幅広い。あるチームは、地域での高齢者の追跡調査で、加齢に伴うさまざまな健康リスク要因を明らかにしようとしている。ここでは、要因を明らかにすることだけを目的にしているのではない。その先の予防戦略、施策への反映までを視野に入れており、実践としてプロジェクトを進めていく力も求められている。また、別のチームは、噴火後の三宅島に帰島した村民の肺機能の変化を追跡している。ここでの研究プロジェクトも、健康診断で村民の健康を守るという直接的な成果だけではなく、村や都の環境保健施策にも役立てられている。まさに、「公衆衛生は、社会の組織的な取り組みを通じてあらゆる人々の疾病の予防や身体的・精神的健康の増進を図ることであり、これを達成するためのscienceとartである」(ウィンスロー)ことを実感する学びの場である。

そこで大事なことは何か? 研究者としての科学的な手法に基づく厳密さに加え、「現場感」を持ち続けること、そして「コミュニケーション」を大切にすることだと考えている。健康や病気が、いかに日常の生活とつながっているか、あるいはその人の生き方と密接に関連しているかという感覚を研ぎ澄ますことが、研究のスタート地点だ。公衆衛生に求められているのは、個を大切にした社会的組織づくりであり、それは地域づくりそのものでもある。そのために、私たちの研究室で学ぶ仲間は、博士課程や修士課程の学生も、そして学部生も、みんな一緒に現場へ出かけ、現場で対話を続けながら、自らの手でデータを収集し、活動を続けている。これからも、「実証と実践の両立」をキーワードに、多くの仲間たちと、研究室を飛び出して活動を続けていきたい。

教員のプロフィール

1989年慶應義塾大学医学部卒業。1993年同大学院医学研究科博士課程(予防医学系)修了。1994年ハーバード大学公衆衛生大学院修士課程修了。ハーバード大学公衆衛生大学院ポストドクトラルフェロー、慶應義塾大学専任講師(医学部衛生学公衆衛生学)を経て、2005年より現職。

私の公衆衛生活動報告

道川 武紘(みちかわ たけひろ)
医学研究科博士課程3年
群馬県4日、長野県4日、熊本県3日、長崎県2日、栃木県2日、大阪府1日。とある1カ月に、私が大学外で活動していた日数です。えっ、ドクターって病院にいるんじゃないの? それが違うのです。私はQOL(生活の質)の向上・健康寿命延伸につながるような予防医学研究を行っており、その活動現場は“病院(大学)” ではなく、“地域や職域” になります。保健師さんから地域産業保健の実情を伺い、住民の皆さんの声を聞いて新しい公衆衛生施策立案に向けたヒントを得る(「学」)一方、住民全体を対象にした健康づくり活動をサポートするために、予防医学の立場からのアドバイスを行う(「教」)。「半学半教」というより現場から学ぶことの方が多いでしょうか。“現場” では、東京にない季節の移り変わりを楽しみつつ、“大学” に戻れば、自ら収集した健診データをもとに、データ解析、学会発表、論文執筆とアカデミックな活動に従事する。オンとオフのバランスがとれた楽しい教室です。
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