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[半学半教] 古文書は歴史に生きた人々からのメッセージです(文学研究科教授 田代和生)

2009/02/02 「塾」2009年WINTER(No.261)掲載
※職名等は掲載当時のものです。

日本史(近世史)専攻。学生数(学部生12名・大学院生5名)。
研究室(古文書室)に、関東地方を中心とした農村文書が大量に収蔵されており、教員と学生の協力により目録を作成。
最近古文書のデジタル検索システムを開発し、ネット公開の準備中にある。

田代 和生(たしろ かずい) 文学研究科教授

研究会の皆さん
「歴史は暗記科目なので、私は苦手です」「江戸時代のことはすでに分かっていることばかりで、新しい研究の余地はないと思います」歴史の勉強、あるいは江戸時代の研究について、このような間違った認識をするかたが多いことに驚かされます。実は白状しますが、私は暗記が大の苦手なのに歴史が大好きです。研究者がひしめいている江戸時代を専門にしていますが、 まだ手のつけられていない研究余地がたくさん残っていることを知っています。それは歴史上の有名・無名にかかわらず、大勢の人たちからのメッセージ(古文書)を読み取ることができるからです。

江戸時代の史料は、読みやすいように印刷されたものはほんのわずかです。そのほとんどがまだ古文書の状態で、資料館・博物館・大学などの研究機関、あるいは個人のお宅の蔵の中で眠っています。そこで私のゼミに所属する学生たちは、必ず卒業までにそれらの古文書を解読できるよう、日々、難解な文字と格闘しています。そしてさらに慶應義塾が保管する厖大な古文書(農村文書)の整理作業に参加し、カードをとりながら村に生きたたくさんの人たちからのメッセージを読み取っています。学部時代から生の史料に触れると、史料保存の大切さを知り、新しい視角から歴史を考えていこうとする姿勢を養うことができます。手紙などの難解な古文書は、教師はもちろん大学院生の力を借りながら互いに学びあう、それこそ「半学半教」の福澤精神に触れることができるのもこのゼミの特徴のひとつです。

ところでいくら古文書が読めても、それを歴史学のなかにどのようにはめ込むか、ここが一番難しいところです。ゼミでは年間の研究テーマ(今年度は「鎖国時代の国際関係」です)を決めて、従来の研究史を徹底的に洗い出し、最近の研究動向を調べたうえで、問題を提起しながらグループごとに討論を繰り返していきます。検討すべき問題の発見は、歴史を通説にとらわれずに、独自の発想能力で論理的にものごとに取り組む能力を磨いていきます。そこに客観的に検証するためのツールとして、オリジナル史料が登場します。生の素材をどのように使いこなすか、これぞ歴史研究の醍醐味を味わうことのできる至福のひとときです。

卒業論文のテーマは、各自、まちまちです。「仮説を提示する」「調べ尽くす」「検証・理論化する」といった基礎的な能力をしっかり身につければ、個々の知的好奇心にしたがって新たなメッセージを発信でき、勇躍と社会へ巣立っていけます。

教員のプロフィール

中央大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士。専攻は近世日朝貿易史。1983~85年延世大学校訪問教授・プリンストン大学訪問研究員。1968年より40年間にわたり対馬島に残る宗家文書の史料調査を行う。著書に『近世日朝通交貿易史の研究』(創文社)、『書き替えられた国書』(中央公論社)、『倭館』(文藝春秋)等。

時の隔たりを埋める

結城 大佑(ゆうき だいすけ)
文学部4年
歴史の研究は過去に作成された文書を読むことから始まります。本ゼミはその点を重視し、演習の履修が義務づけられています。演習では江戸時代に作成された古文書を読み、過去を読み取る力を鍛えます。“鍛える”という言葉を使うのはその読み取りが一筋縄ではいかないからです。1文字読むのに30分かかることもあります。しかしそれを読み解けた時、喜びとともに過去の人々が残した情報に一歩近づけたと感じます。夏休みや三田祭期間にも、集中的に文書を読む機会があり、ゼミの皆でああだこうだと言いながら古文書と闘いました。

授業では発表や討論の形式で日本の過去を探ります。3年生は決まったテーマ、4年生は各自のテーマに沿ってゼミを進めますが、さまざまなツールで歴史を学ぶことで、実社会で通用する幅広い視野を身につけます。

史料を読み、発表や討論を通して過去に少しでも近く迫ることが重要です。そのおもしろさを授業の中で学べると感じています。
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