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[半学半教] 国際的な日本の絵本・絵巻研究(文学部教授 石川 透)

2008/10/01 「塾」2008年SUMMER(No.259)掲載
※職名等は掲載当時のものです。

日本の古典文学作品の多様な研究を実践する。現在、大学院生3名、4年生・留学生10名が在籍。

石川 透(いしかわ とおる)  文学部教授

研究室の皆さん
だいぶ以前から、文学部国文学専攻の研究会は、4年生だけが所属します。したがって、研究会に所属する学生数は、他学部や他専攻に比べると半分になります。その利点を生かしているわけではありませんが、私の研究会では、毎週ゼミの時間に少人数で外出します。国文学が題材となっている展覧会を美術館や博物館に見に行ったり、あるいは、さまざまな歴史上の史跡を巡ったりするためです。そこでいつも驚くのは、4年間慶應義塾に通っているはずなのに、三田の周りに何があるのかを学生が知らないことです。例えば、西門を出て右にある綱坂は、平安時代に活躍したとされる武士・渡辺綱を由来とする名称です。そのあたりは、かつては綱町と言いましたし、綱が生まれたという綱生山と号するお寺もあります。もちろん、本当に渡辺綱がここで生まれたのか、真偽の程は不明です。その渡辺綱が活躍しているのが、『酒呑童子』や『土蜘蛛』といった古典文学作品です。これらの文学作品は、室町時代には絵巻物や演劇にもなり、江戸時代を通して人気がありました。現在でも昔話の絵本になったりしますから、知っている人もいるのですが、若い学生諸君には、あまり知られていません。

ところが、海外に日本の古典の調査に赴くと、よく『酒呑童子』に遭遇します。昨年調査に行ったワシントンのフリア美術館には、絵巻や屏風が計5点も収蔵されていました。もちろん、絵巻に書いてある文字は、日本人でもほとんど読めないほどですから、海外の方も読めません。しかし、そこに描かれる絵のおもしろさ、美しさに感動して海外の方が買い求めたものなのです。しかも、日本と違って、海外の方はそういった文化財を晩年に美術館や博物館に寄贈しますので、誰でも見ることができるようになるのです。日本文学を研究しているにもかかわらず、私が頻繁に海外に行くのは、このような絵巻や絵本を調査するためです。海外に所蔵されている絵巻や絵本については、まだ研究も始まったばかりです。慶應義塾大学を中心とするプロジェクトであるDARCによる、海外所蔵の奈良絵本の撮影も行われ、本研究会も深くかかわっていますし、絵本や絵巻についての国際会議も、学生諸君の協力のもとに毎年開催しています。

教員のプロフィール

1988年慶應義塾大学大学院文学研究科国文学専攻博士課程修了。専門は、物語や説話を中心とした古典文学。
主要著書に、『奈良絵本・絵巻の生成』(三弥井書店)、『御伽草子 その世界』(勉誠出版)など。

物語は机の上だけでは終わらない

星 瑞穂(ほし みずほ)
文学研究科修士課程1年
文学の研究とは、本を読み文字を追い、書き手や登場人物の心情を想像することだけではありません。本研究会に所属し、私が身に染みて感じるようになったのは、私自身が目で見て触れて経験してはじめて物語は理解できるということです。
本研究会は毎週金曜には貴重書を所蔵する博物館や美術館を直接訪れます。極彩色の絵の施された絵巻絵本の実物に直接触れる機会も多く、その筆の運びや絵の具の色から、制作者の意図が伝わってくることもあるのです。京都合宿の際には、絵巻に描かれた京の都の大路や、物語に描かれた嵯峨の野を実際に歩きました。道の凹凸や山の景色などを実際に自分の目で見ると、物語の情景をより鮮明にイメージできます。また、昨年は海外に所蔵されている貴重書を調べに渡航する機会も与えられ、物語の中から広い世界に視野をむけることもできました。
ゼミ生たちと、机の上だけでは終わらない文学研究を重ね、私は文学が実学であるということをこの場所で学んでいます。
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