メインカラムの始まり
[FRONTIER] 私のユダヤ研究
2012/05/21 (「塾」2012年SPRING(No.274)掲載)
羽田 功(はだ いさお) 経済学部教授
今年は日本・イスラエル国交樹立60年にあたりますが、混迷状態に入って久しいパレスチナ問題の今後の展開が大いに気になるところです。
ところで現在1500万人ほどいるユダヤ人の半数強はイスラエル以外の地で暮らしており、時間的にも彼らには数千年の歴史があるために、ユダヤ研究の内容も多岐にわたります。たとえば、古代に関する考古学的な研究、離散以降の時代や地域に応じた歴史研究、ユダヤ教・ユダヤ思想研究、ヘブライ語やイディッシュ語などを対象とした言語学的研究、反ユダヤ主義を含む近代ユダヤ人問題研究、ユダヤ系思想・芸術・文学研究、ホロコースト研究、シオニズム研究、パレスチナ問題を軸とした国際政治関連の研究等々です。しかも、これらが密接に結びついている場合も少なくありません。
私自身はヨーロッパ、特にドイツを中心としたユダヤ人問題を扱っています。ユダヤ人問題についても多様な考え方、立場があり、一義的な定義はできませんが、私の場合は、ユダヤ人の流入以降ヨーロッパがユダヤ人と取り結んできた関係、つまり受入れの経緯やそこから派生する多様な問題の総体をユダヤ人問題と捉えています。中でも、ユダヤ人にまつわる種々の、多くは否定的なイメージがどのように形成されてきたのかを探ってきました。具体的には10世紀あたりから現代にまで至る図版類やドキュメントなどのメディア資料を宗教、政治、経済、文化、社会といった多角的な観点から読み解く作業です。こうした作業を通してユダヤ人アイデンティティの特質の一端を明らかにすることが目的です。
いずれにせよ、私の研究に限ってもさまざまな分野・領域の研究者との共同作業や情報交換が不可欠です。そのため他大学・他機関の研究者との共同研究も行ってきました。少し古くなりますが、その成果の一つが『ユダヤ人と国民国家』(市川裕・手島勲矢他[編]・2008年・岩波書店)です。私は中世から近世にかけてのキリスト教会(主にカトリック教会)とヨーロッパ・ユダヤ人の関係について寄稿していますが、本書の目次を見るだけでユダヤ研究の幅広さがわかると思います。現在は、近代ドイツの「ドイツ人意識」形成を反ユダヤ主義の観点から解き明かすことでドイツ系ユダヤ人の在り方を逆照射する研究を進めています。
ところで現在1500万人ほどいるユダヤ人の半数強はイスラエル以外の地で暮らしており、時間的にも彼らには数千年の歴史があるために、ユダヤ研究の内容も多岐にわたります。たとえば、古代に関する考古学的な研究、離散以降の時代や地域に応じた歴史研究、ユダヤ教・ユダヤ思想研究、ヘブライ語やイディッシュ語などを対象とした言語学的研究、反ユダヤ主義を含む近代ユダヤ人問題研究、ユダヤ系思想・芸術・文学研究、ホロコースト研究、シオニズム研究、パレスチナ問題を軸とした国際政治関連の研究等々です。しかも、これらが密接に結びついている場合も少なくありません。
私自身はヨーロッパ、特にドイツを中心としたユダヤ人問題を扱っています。ユダヤ人問題についても多様な考え方、立場があり、一義的な定義はできませんが、私の場合は、ユダヤ人の流入以降ヨーロッパがユダヤ人と取り結んできた関係、つまり受入れの経緯やそこから派生する多様な問題の総体をユダヤ人問題と捉えています。中でも、ユダヤ人にまつわる種々の、多くは否定的なイメージがどのように形成されてきたのかを探ってきました。具体的には10世紀あたりから現代にまで至る図版類やドキュメントなどのメディア資料を宗教、政治、経済、文化、社会といった多角的な観点から読み解く作業です。こうした作業を通してユダヤ人アイデンティティの特質の一端を明らかにすることが目的です。
いずれにせよ、私の研究に限ってもさまざまな分野・領域の研究者との共同作業や情報交換が不可欠です。そのため他大学・他機関の研究者との共同研究も行ってきました。少し古くなりますが、その成果の一つが『ユダヤ人と国民国家』(市川裕・手島勲矢他[編]・2008年・岩波書店)です。私は中世から近世にかけてのキリスト教会(主にカトリック教会)とヨーロッパ・ユダヤ人の関係について寄稿していますが、本書の目次を見るだけでユダヤ研究の幅広さがわかると思います。現在は、近代ドイツの「ドイツ人意識」形成を反ユダヤ主義の観点から解き明かすことでドイツ系ユダヤ人の在り方を逆照射する研究を進めています。
























