メインカラムの始まり
[FRONTIER] 美の起源を探る
2011/08/22 (「塾」2011年SUMMER(No.271)掲載)
渡辺 茂(わたなべ しげる) 文学部教授
芸術活動は人間の特徴の一つと考えられます。有名なラスコーの洞窟に描かれた絵画は1万5千年前のものと考えられますし、一番古い楽器だと思われる骨の笛は3万2千年前のものとされています。これら美を楽しむことは人間だけが持つ知性の現れでしょうか? 私たちの研究室ではこれまでに人間と鳴禽(めいきん)が音楽の好みを持ち、また、鳥類も絵画の画風(例えば印象派の絵とキュビストの絵)を見分けるだけでなく、児童画を使うと(幼稚舎の協力を得ました)その上手下手もある程度見分けることを報告してきました。しかし、人間以外の動物が絵画を楽しむかどうかははっきりしませんでした。
そこで大学院生の一方井祐子(いっかたいゆうこ)君(社会学研究科後期博士課程3年)とブンチョウで実験を行い、彼らにも絵画の好みがあるらしいことを突き止めました。ちょうどギャラリーの廊下のような長い鳥籠を使い、途中3カ所で絵を見ることができるようにしました。絵はコンピュータのスクリーンに映し出され、7秒毎に別の絵に替わります。3カ所のうち2カ所では日本画、印象派、またはキュビズムの絵を見ることができ、残り1カ所では灰色のパターンが見られます。どのような絵の前に長くいるかを調べたところ多くの鳥が印象派の絵よりキュビズムの絵の前に長くいることが分かりました。日本画とキュビズムでは好みに個体差が出ました。また、日本画と印象派の間では好みに差が出ませんでした。この研究は実際の絵画を使って鳥類に好みがあることを調べた最初の報告になりました。
また、別の実験では絵画を見分ける訓練を行いました。一方の絵がコンピュータ・スクリーンに映された時に止まり木に飛び移ると餌がもらえますが、他方の絵の場合は餌がもらえません。ブンチョウは餌がもらえる方の絵の時だけ飛び移ることを憶えました。その後で、いままで見たことのない絵を見せるテストをしましたが、ブンチョウは初めて見る絵でもキュビズムの絵か印象派の絵か、あるいは日本画か印象派かが区別できました。ブンチョウは絵の好みもあるし、また見分けることもできるということです。
美は究極的には個人の好みですが、文化や時代に共通な好みもあります。人類に共通な好み、さらに哺乳類や鳥類とも共通な好みもありそうです。それらは動物や人間が持つ脳の共通な機能を反映しているのかもしれません。最近の研究では鳥が生き残った恐竜であることが分かってきました。ことによると恐竜もまた絵画を楽しむ能力を持っていたのかもしれません。
そこで大学院生の一方井祐子(いっかたいゆうこ)君(社会学研究科後期博士課程3年)とブンチョウで実験を行い、彼らにも絵画の好みがあるらしいことを突き止めました。ちょうどギャラリーの廊下のような長い鳥籠を使い、途中3カ所で絵を見ることができるようにしました。絵はコンピュータのスクリーンに映し出され、7秒毎に別の絵に替わります。3カ所のうち2カ所では日本画、印象派、またはキュビズムの絵を見ることができ、残り1カ所では灰色のパターンが見られます。どのような絵の前に長くいるかを調べたところ多くの鳥が印象派の絵よりキュビズムの絵の前に長くいることが分かりました。日本画とキュビズムでは好みに個体差が出ました。また、日本画と印象派の間では好みに差が出ませんでした。この研究は実際の絵画を使って鳥類に好みがあることを調べた最初の報告になりました。
また、別の実験では絵画を見分ける訓練を行いました。一方の絵がコンピュータ・スクリーンに映された時に止まり木に飛び移ると餌がもらえますが、他方の絵の場合は餌がもらえません。ブンチョウは餌がもらえる方の絵の時だけ飛び移ることを憶えました。その後で、いままで見たことのない絵を見せるテストをしましたが、ブンチョウは初めて見る絵でもキュビズムの絵か印象派の絵か、あるいは日本画か印象派かが区別できました。ブンチョウは絵の好みもあるし、また見分けることもできるということです。
美は究極的には個人の好みですが、文化や時代に共通な好みもあります。人類に共通な好み、さらに哺乳類や鳥類とも共通な好みもありそうです。それらは動物や人間が持つ脳の共通な機能を反映しているのかもしれません。最近の研究では鳥が生き残った恐竜であることが分かってきました。ことによると恐竜もまた絵画を楽しむ能力を持っていたのかもしれません。
























