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2012年04月02日 平成24年度大学入学式式辞

慶應義塾長  清家 篤



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 新入生の皆さん御入学まことにおめでとうございます。慶應義塾を代表して,皆さんを歓迎いたします。また御家族の方々にも心からお祝いを申し上げたいと思います。

 慶應義塾では学生を塾生,卒業生を塾員と呼び習わしております。そして入学式には卒業50年目の塾員の方々をお招きしています。新入生の皆さんは後ろをちょっと振り返ってください。そこの1階スタンド席に卒業50年の方々が,皆さんの入学をお祝いするために全国から駆けつけてくださっています。
 たくさんの方々にお集まり頂いたことを新入生とともに御礼申し上げます。

 さて今日から皆さんは慶應義塾の一員です。ここで一員というのには意味があります。それは皆さんは慶應義塾のお客さんではないということです。
 しばらく前に大学改革などを語るとき,学生の「顧客満足」ということが言われたことがあります。学生を顧客,お客さんになぞらえて,その満足する授業や就職支援をすべきということです。私はその趣旨は分かりましたが,「顧客」という言い方には違和感を持ちました。それは私たちにとって,学生は授業料分のサービスを提供して満足してもらえばよい顧客,すなわちお客さんではないと考えているからです。
 私たちにとって学生は,充実した学生生活を送って卒業してもらうことはもちろんですが,卒業後もどうしているだろうかと心配になる存在です。私たちの教育の成果は,皆さん一人一人が最終的に慶應義塾に行ってよかったと思って人生を終えてくれるかどうかに,かかっていると考えています。皆さんは顧客ではなく,私たちにとって,とても大切な後輩なのです。
 大切な後輩にはその長い人生をより良く生きるために必要な力を養ってほしいと願っています。その力とは結局,自分の頭で考える力だと思います。

 今日の世界はその持続可能性が問われるような大きな変化を経験しつつあります。例えば地球温暖化は私たちの住む地球という天体の持続可能性を問う問題ですし,日本などで顕著な少子化などは社会の基盤をなす人口の持続可能性を問うような大きな変化です。このような大きな変化の時代には,過去の延長線上でものを考えたり問題を解決したりすることは難しくなってきます。
 新しい状況を自らの頭で理解し,その理解にもとづいて問題を解決する,すなわち自分の頭で考える能力が求められます。これは具体的には問題を見つけ,その問題がなぜ起きているのかについて自分なりの考えをまとめ,その考えが正しいかどうかを何らかの方法で確認し,その確認された考えにもとづいて問題を解決するということです。実はこれは学問の方法論,すなわちまだ誰も解答を与えていない問題を見つけ,その問題についての仮の説明,仮説を作り,その仮説が正しいかどうかを,自然科学であれば実験等によって,社会科学であれば統計等によって,あるいは人文科学であれば文献調査等によって検証して結論を導くというプロセスと同じです。やはり今と同じように,あるいは今以上に大きな変化の時代を生きた慶應義塾の創立者,福澤先生が,学問,とくに科学という意味での「実学」の重要性を強調されたのもそのためでした。
 つまり自分の頭で考える力を身に付けるためには,学問をすることが何より有効なのです。そこで皆さんは,まず幅広く学問を勉強して,そうした学問を作り上げた人たちが自らの頭で考えたプロセスを追体験してください。そしてこれまでに確立された学問で分かっていることは何か,同時にまだ分かっていないことは何か,を確認してほしいと思います。

 その上で皆さん自らの学問研究をしてください。皆さんの多くは卒業論文や卒業研究を提出して大学を卒業していきます。そこではテーマを選び,仮説を作り,それを検証して結論を導くという学問の方法論をしっかり踏まえた作業をします。自分の頭で考えることの学問的,体系的な経験となるでしょう。
 自分の頭で考える経験は,スポーツや芸術,文化などの課外活動を行うことによっても得られます。例えばスポーツ選手は次の試合に勝たねばならないという課題を持ち,そのためにはどんな技や戦術が有効かということを自分で考え,それを日々の練習で試してみて,もっとも有効な技や戦術によって試合に臨んで勝利を得るということを行っています。これは芸術系,文化系のクラブで,部員たちが技を磨いて演奏会や展覧会に臨むのも同じです。
 自分の頭で考える力は,皆さんが長い人生をより良く生きるために不可欠のものです。慶應義塾大学での学業や課外活動を通じて,是非ともその力を養ってほしいと思っています。

 皆さんが慶應義塾にとってお客さんではない理由がもう一つあります。それは皆さんも慶應義塾をより良くする役割を担っているということです。
 もちろん私たちは皆さんに質の高い教育を提供できるよう日々,努めていますが,しかし単に質の良い教育が提供されているというだけでは良い大学とはいえません。
 良い大学,あるいは良い学校というのは,良い教育が提供されていることに加えて,そこに行くと良い友人,あるいは良い先輩,後輩にめぐりあえる大学,学校であります。つまり皆さん方自身が,互いに他の塾生にとって慶應義塾が良い大学であるための大切な存在なのです。

 皆さんの周りには様々な長所を持った塾生がいます。学業に優れた人,スポーツの得意な人,芸術の才に長けた人,あるいは高潔な人格者,そうした尊敬できる人たちが周囲にいるのは素晴らしいことです。そして実は,そうした友人の素晴らしさを知り,それに触発されて,実は自らの内にある良い点,自らの得意なことを,改めて確認し,自らをさらに高めることもできます。
 創設期の慶應義塾は,「半学半教」という仕組みをとっていました。塾生は互いに教師役となって自分の得意なことを他の塾生に教え,また他の塾生からその得意なことを教わるということです。こうしたやり方は専任の教師を雇用することができなかった創設期の慶應義塾の台所事情を大いに助けてくれた,ともいわれています。しかしそれは結果として,学生は単に教わるだけの存在ではなく,互いに教え感化し合って教育の質を高めることに貢献するという意味で,慶應義塾の教育のあるべき姿の原点になったともいえると思います。
 これから始まる皆さんの大学生活で,学業や課外活動を存分に行うことで,自ら考える力を養ってください。そして互いに尊敬しうる友人として高め合っていってください。改めて皆さんの御入学をお祝いし私の式辞とします。

 さて今日はここに海外からの新入生も参加しています。最後にその方々のために短く英語の祝辞を申し上げます。

 Since there are a number of international students joining Keio today, let me make some remarks in English very briefly.
 First of all, to all the new students, on behalf of Keio University, I would like to welcome you and to extend my heartfelt congratulations.
 Hereafter you are members of Keio University. I mean that you are members because we don't think of you as guests or customers, but as our partners in the Keio family. Your relationship with Keio will not be limited to the years you study here, but will last your whole life.
 We will provide you with a high quality education. And we expect you too will contribute to improve the quality of our education, particularly by inspiring each other.
 Yukichi Fukuzawa, the founder of Keio, emphasized the importance of learning. And he also emphasized the importance of mutual learning.
 I hope that you all have a meaningful college life here at Keio. I congratulate you again and thank you all very much. Congratulations.

 皆さん本日はまことにおめでとうございました。

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