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2011年04月01日 (慶應義塾長から)新入生の皆さんへのメッセージ

慶應義塾長  清家 篤



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 新入生の皆さん、御入学まことにおめでとうございます。慶應義塾大学は皆さんの御入学を、心から歓迎致します。またこれまで新入生を育んでこられた御家族や先生方など、関係者の皆様にもお祝いを申し上げます。

 さて3月11日午後に発生した「東北地方太平洋沖地震」は、文字通り未曾有の地震津波災害となりました。被害の実態がつまびらかになるにつれ、まことに胸の塞がれる思いです。その犠牲になられた方々には深い哀悼の意を表します。また厳しい状態の中におられる被災者の方々には心からお見舞い申し上げます。

 すでにお知らせしてありますように、皆さんの入学式も、地震の影響による電力や交通機関の状況、余震への対応、そして電力の節約への社会的要請などをふまえ、一時に多数の人々が集まる式典をすぐに開催することは適当ではないと判断し、後日に延期することとしました。
 ただし、通常の授業は、皆さんの安全に最大限の配慮をしつつ、可能な限り速やかに開始致します。このように大変なときであるからこそ、日本の復活、発展を担う若者の教育がなによりも重要であると思っているからです。皆さんのガイダンスや授業の新しい開始日程についてはすでにお知らせしている通りですが、その日を楽しみにしていてください。

 いま日本と世界は大きな変化に直面しています。大きな変化のときには、過去の延長線上でものを考えたり問題を解決したりすることは難しくなってきます。
 大切なのは、新しい状況を自分の頭でしっかりと理解し、その理解にもとづいて問題を解決する能力です。その基礎になるのが学問です。現在と同じように、やはり大きな変化の時代であった明治維新前後を生きた福澤先生が、『学問のすゝめ』や『文明論之概略』などの著書の中で学問の大切さを繰り返し強調したのもこのためです。
 まず幅広く学問を学んでください。これまでの学問から分かること、そしてその学問を作りあげてきた人たちがどのように自分の頭で考えてきたかを学びとってほしいと思います。その上でこれまでの学問ではまだ分かっていないことについて、自分自身で問題を設定し、その問題に解答を与えるということ、すなわち皆さん自身の学問研究をしてください。スポーツや芸術などの課外活動において、どうしたら試合に勝てるか、どうしたらもっと技能が高まるかといったことを考えることもまた、自分の頭でものを考える力を養うよい機会です。
 幅広い教養を身に付け、奥の深い研究をし、存分に課外活動をしてください。そのことによって、いま何よりも必要とされている、自分の頭で考える能力を高めることができます。慶應義塾大学は皆さんのその営みを精一杯応援します。

 盛りだくさんのことを皆さんに要求しているようですが、慶應義塾大学に入学される皆さんにはそれをこなす能力があります。教養を身に付けることも、研究を深めることも、また思い切り課外活動をすることも、義務ではなく、機会、チャンスです。ぜひそれを楽しんで、力を伸ばしてください。新学期に皆さんとお目にかかるのを楽しみにしています。

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