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2008年04月03日 薬学部・大学院薬学研究科在校生転籍式式辞
慶應義塾長 安西 祐一郎
今日ここに,慶應義塾大学薬学部・大学院薬学研究科の在校生転籍式を迎えることができました。薬学部・大学院薬学研究科に転籍された皆さんにおかれましては,これを機に慶應義塾大学の学生,慶應義塾の塾生となったわけであります。塾長として皆さんを義塾にお迎えができたということを心から嬉しく思います。また,ご家族,保証人の皆様にも厚く御礼を申し上げます。教員,職員の方々にも深く感謝を申し上げなければなりません。共立薬科大学との合併については, 2 年余り前から話が進められてきたわけでありますけれども,在校生の皆さん,また,保証人,ご家族の皆様,教職員,関係者の方々のご尽力をもって,今日の日を迎えることができたわけでございます。そのことにつきまして深く感謝を申し上げますとともに,これから慶應義塾の一員として,創立77年を迎えた共立薬科大学の伝統と実績を活かし,一緒に歩んでいただければと念じております。どうかよろしくお願いを申し上げます。
これまで共立薬科大学の学生として生活をしてこられた皆さんは,慶應義塾大学の学生になったわけでありますけども,共立薬科大学に比べて慶應は人数が多くより長きにわたる伝統もあります。そういうことでいろいろ不安があるかもしれません。しかしその心配は無用であります。今まで長い時間をかけて,合併について,また学部の設置,大学院研究科の設置等々について,いろいろな方々が関わって,時間をかけて準備がされてきました。この合併は,伝統と実績のある二つの大学が一緒になって,これから特に薬学の教育,研究,また社会貢献について新しい道を拓いていきたい。そういうことでありますから,一緒にこれからの道を切り拓いていっていただきたい。そのための準備は周到にしてきておりますから,慶應義塾のキャンパスで学ぶことになった在校生の皆さん,またご家族,保証人の皆様もご心配なく,これまで共立薬科大学で学んできた誇りを胸に一緒に歩んでいっていただきたいと,心から願っている次第でございます。
壇上に,慶應義塾の役員の方々,また大学学部長,研究科委員長の方々が列席してくださっておられますので,ここでご紹介申し上げたいと思います。
皆さんから向かって右側,西村太良常任理事,教育・研究の担当でございます。工藤教和常任理事,人事・労務担当,創立150年記念事業の担当理事であります。井上和雄常任理事,財務・経理の担当でございます。山崎元常任理事,病院,体育会,一貫教育校の担当でございます。森征一常任理事,総務,法務,広報,卒業生等々の担当でございます。坂本達哉常任理事,国際連携の担当をしております。それから,職員のトップでありますけれども古屋正博塾監局長です。よろしくお願いいたします。そして,皆さんの向かって左側,文学部長長谷山彰君。大学院文学研究科委員長中川純男君。経済学部長塩澤修平君。商学部長・大学院商学研究科委員長清家篤君。大学院医学研究科委員長岡野栄之君。理工学部長・大学院理工学研究科委員長真壁利明君。環境情報学部長徳田英幸君。看護医療学部長山下香枝子君。大学院健康マネジメント研究科委員長大西祥平君。そして初代の薬学部長,初代の大学院薬学研究科委員長になられたわけでありますが,笠原忠君であります。他の学部長,大学院研究科委員長はよんどころない用件で見えていない方もおられますけれども,いろいろな機会に巡り合うことができるかと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
慶應義塾につきまして,多少申し上げておければと思います。今年慶應義塾は創立150年を迎えました。共立薬科大学も創立77年という伝統ある学校でありますけれども,慶應義塾も創立以来150年になります。1858(安政5 )年,幕末に創設されたわけですが,1868年が明治維新ですので,その10年前の1858年に塾が創られたわけであります。幕末の10年間を経て明治維新,さらに明治,大正,昭和の激動の時代を経て今日まで150年の間,とくに日本の近代化を先導してきた,そういう自負を持った学塾でございます。
共立薬科大学と同様に,私塾,私学として,関係者一同が一緒に参画をして皆で一緒に学校をつくってきたのだという気概もあり,誇りもあります。4 月からは,薬学部,薬学研究科の在校生の皆さん,ご家族,保証人の皆様,教職員の方々とも一緒になって,慶應義塾,とくに薬学の教育,研究,そして社会貢献の新しい道を創っていきたいと考えております。
福澤先生が書かれた「慶應義塾の目的」という有名な文章がございまして,それをここでご紹介しておきたいと思います。「慶應義塾の目的」という文章は次のような文言でございます。
「慶應義塾は単に一所の学塾として自から甘んずるを得ず其目的は我日本国中に於ける気品の泉源智徳の模範たらんことを期し之を実際にしては居家処世立国の本旨を明にして之を口に言ふのみにあらず躬行実践以て全社会の先導者たらんことを欲するものなり」
こういう言葉でございまして,明治維新の以前から150年の時を超えて,いまはいわゆるグローバルと言われる時代。そういう中で慶應義塾は,「独立自尊」の精神をもって,いま申し上げたような「慶應義塾の目的」をもって社会を先導してきた。そういう自負のある学校でございます。これは薬学の世界でも同様でありますけれども,在校生の皆さんにもいろいろな道があるかと思いますが,いずれの道であろうと,これからの新しい時代に向けて研鑽を積んでいただきたい。
もう一方で,共立薬科大学の理念と使命,とくに科学の素養を十分に身につけた薬学の学士になる,あるいは修士,博士になる。また患者さんに信頼をされ,医師と看護師に期待され,国民に愛される薬剤師となることを今後も大切にしていただきたい。共立薬科大学のそういう使命と使命感,それは大切にしていきたいと考えております。たとえば6 年制の教育,これはまだ全国で卒業生が出ていないわけでありますし,また病院実習についてもずいぶん大きく変わってまいります。今後どうなっていくのか分からない点が多々あるわけですが,日本の薬科大学あるいは薬学部がみんなこれからどうしたらいいのか考えている。そういう状況の中で,共立薬科大学の伝統と実績を踏まえ,また慶應義塾の伝統も活かして,慶應義塾の薬学として自ら新しい道を拓いていきたい。そう念願している次第でありますので,とくに在校生の皆さんには頑張ってほしいと思っております。
笠原学部長,研究科委員長のリードのもとにぜひいろいろ励んでいただきたいと思っておりますが,他学部あるいは大学院研究科の人達にこれから皆さんは,いろいろなところで出会うことと思います。ここで併せて申し上げておけば,皆さんは,芝共立キャンパスという名前になりましたけれども,以前と同じ場所を中心にして学んでいくことになるわけでありますが,慶應義塾大学自体は総合大学です。文系の学部はもちろん,医学部,理工学部,看護医療学部,環境情報学部,総合政策学部等々の学部もあり,大学院もいろいろあります。そういうところで学んでいる塾生,学生たちとぜひ交友関係を持っていってほしい。これも心から願っていることでありまして,義塾にはいろいろな学生,塾生がおり,いろいろなことを目指しています。薬学以外の分野で励んでいる学生もたくさんいます。そういう人たちと交友関係を持つということは,生涯にわたって大きな宝になっていくと思いますから,そのことも併せてお願いをしておきたいと思います。
繰り返しになりますが,今お伝えしたような慶應義塾の伝統と,皆さんよくご存知の共立薬科大学の伝統,これらが一緒になって,しかも今までどおりのことをやるというよりは,薬学の新たな教育,あるいは創薬等を含めた先端的な研究,それから国際貢献も含めた社会貢献等々を開拓していかねばなりません。こういったことすべて,日本では未知数のことが多い。時代の変わり目でもあり薬学分野の変わり目でもある。さっき申しました福澤諭吉先生の「慶應義塾の目的」という文章の最後にある「全社会の先導者たらんことを欲するものなり」という言葉は,これからの私達のやるべきことを端的に示しています。その言葉を薬学に移し替えて言えば,薬学の道を先導する先導者でありたいということであります。もちろん日本には国立大学等も含めて薬学部もあり薬科大学もあるわけでありますけれども,二つの大学の伝統と実績を踏まえて皆で努力をしていけば,慶應義塾大学の薬学部,また薬学研究科が薬学とその関連分野の新しい道を拓くことはきっとできるに違いありません。
慶應義塾の卒業生は,現在世界中に約30万人余りおります。また共立薬科大学卒業生の方々も一万数千人おられます。これらの方々もまた一緒に大きなネットワークになっていくでしょうし,塾生になった皆さんの大きな力になっていくと思います。
創立150年記念事業の基本テーマは「未来への先導」で,とくに人を育むための事業を基幹としていますが,老朽化した校舎の建て替え等も進めております。今皆さんのおられる日吉記念館も,来年の入学式,卒業式をもって取り壊し,建て替えによって2010年秋には新しい記念館が完成する予定でございます。いろいろに工事もありご迷惑をかけるということもあるかもしれませんけれども,それはこれからの慶應義塾のためでございまして,そのことも併せてご了解いただければと存じます。
皆さんとこれから一致協力,また切磋琢磨しながら,一緒に学んでいきましょう。あらためて慶應義塾に皆さんを歓迎いたしますとともに,積極的に大学とともにあり,また社会とともにあり,むしろ社会を先導していくような,そういう人間にぜひなっていただきたいと願っております。
これからいろいろお会いする機会があると思いますが,皆さんのこれからの健闘を心からお祈りいたしまして,式辞とさせていただきます。ありがとうございました。
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